痛風~プリン体と尿酸代謝異常の正体~

「食事も好きだったビールも気を付けてますよ。だけど全然(尿酸値が)良くならない。痛みだけでも何とかなんねぇかなぁ」と、鍼灸院にいらした60代の男性。

痛風とは、尿酸の代謝異常から起こる症状です。

オシッコで捨てられなかった尿酸は血液中に取り込まれてしまいます(高尿酸血症)。

尿酸は血中では代謝されませんので、やがて結晶化し、流れ流れて体内のどこかの関節や腱、多くは足の親指の付け根、足首、膝などに沈着します。

この結晶化した尿酸の沈着により、関節や腱に激痛が引き起こされます。


「尿酸」とは、

食べ物に含まれるプリン体が、体内で分解された最終代謝産物であり、また、体内の細胞の新陳代謝によっても作られる体内で毎日合成される老廃物でもあります。

これまでは、尿酸値を下げる為に「卵を我慢」「ビールを我慢」など、食事内容の改善による飲食のプリン体摂取の制限が推奨されてきました。

ところが最近の研究で、飲食によるプリン体から作られる尿酸よりも、体内で作られる尿酸の方が3~4倍多い、ということがわかってきました。

飲食のプリン体制限だけでは痛風が改善しにくい方が多いのもうなずけます。(*とはいえ、プリン体の摂り過ぎは尿酸過剰になりやすいので全く気を付けなくても良いということではありません。)


細胞の新陳代謝などによって、体内では毎日一定量の尿酸が作られます。

正常な状態では、同じくらいの量が排泄され体内の尿酸量を一定に保つようコントロールされています。

ですが、尿酸の量が増え過ぎたり、うまく排泄することができないと高尿酸血症(尿酸代謝異常)が起こりやすくなります。


欧米諸国に比べて、たんぱく質の摂取量が少ない現代日本人は、プリン体の過剰摂取(尿酸の量)よりも「尿酸の排泄が上手にできない」ことによる高尿酸血症が多いと考えられています。

上手に尿酸を排泄できない。つまり老廃物を捨てきる良いおしっこができていないということです。



尿酸が捨てきれない

おしっこのバランスが崩れる原因は、先天的な体質や遺伝によるもの・食生活・飲酒・ストレス・腎機能低下やホルモン・バランスの異常なども考えられます。



飲酒について

これまでは、ビールのホップ(大麦麦芽)に含まれるプリン体を控えるために「ビール制限、焼酎やウイスキーならば良い」とされてきました。

もちろんプリン体カットは悪い事ではありませんが、

最近の研究では「体内のアルコールが代謝される時に尿酸と乳酸が生じる」「乳酸は尿酸の排泄を妨げる物質である」ということがわかってきています。

尿酸は、ビールだけでなく、アルコール全般の摂りすぎによっても多く作られるということです。そして常飲されている方ほど排泄されにくいと考えられます。



ストレスや疲労によるもの

蓄積された疲労や冷え、慢性的なストレスによる過緊張状態(心身が休まらない状態)は、有害な活性酸素を生じさせたり、体を酸性に傾けることがわかっています。



「中性・アルカリ性の尿」は尿酸の代謝をサポートします

尿酸は酸性の尿では溶けにくい性質がある反面、中性・アルカリ性の尿には非常に溶けやすい性質を持ちます。

高尿酸血症の方の尿は酸性に傾きがちです。

酸性の尿は痛風だけでなく「尿路結石」を起こしやすくなります。


酸性の尿を中和する為に、野菜や海藻などのアルカリ性食物の摂取をお勧めしています。



水分不足に気を付けて

水分不足で血液が濃くなり、相対的に尿酸値は上昇してしまうことも考えられます。

水分の摂りすぎは良くありませんが、必要量の水分摂取(排尿量を増やす効果もあり)は尿酸値を下げるのに必要なのです。




臨床上は

「痛み」の緩和が最優先となります。対症療法といえばそうなりますが、鍼灸院にいらした時点で「我慢できない激痛をどうにかしてほしい」という方が多いのです。

関節に痛みが発症した時点で、すでに陽経を超え陰経(脾経など)にまで影響が及んでおりますので、陽実陰実病症として陰経へのアプローチを取り入れます。


当院では、痛風(尿酸代謝異常)を(先天的な素因、器質的要因、他の病気の合併症などを除けば)、

疲労や冷え・ストレスにより、心身が冷え・疲れきっているせいで、(尿酸を上手く捨てられない位に)オシッコが下手になっている、と捉えます。

全身(心)の調整により、その方の生命力・治癒力を補うことで代謝の改善を目指します。


痛風の改善は、現在の痛みが消えたら終了ではありません。

無痛期と激痛期の間隔は年々狭まってきますので、

「尿酸に負けない元気なおしっこができる」ような、心身共に温まった状態がゴールだと考えます。

ブログ文章 橋本昌周

2019年06月22日